2011年9月28日水曜日

ニューヨーク大停電

2003年8月14日のニューヨーク大停電のつづきです。

車を5番街19丁目付近のレンタカーに返したあと,5番街を北に向かって歩きました。
停電が長引くことで,レストランなどはすべて閉店となったので,食べ物を調達しようと思い,デリカテッセンで中華などを買いました。歩きながら見た光景が忘れられません。道路の「ふた」が開いて,そこから止まってしまった地下鉄の乗客がゾロゾロと地上に出てきました。めったに見ることができない光景でした。

歩いていると,ある店の店頭で,店員が「water 2 dollar」と大声で言っています。通常は1ドルのペットボトルの水を2ドルで売っているのです。便乗値上げ。最近評判のハーバード大学教授マイケル・サンデルが「これから正義の話をしよう」の冒頭部分で,ハリケーンに襲われたあと,同じように便乗値上げがあったことについて触れていますが,それと同じことが起きていました。
「えげつないなあ」と思って見ていると,通りかかった男性が「こういうときにそんな強欲なことをするのは許されない」とその店員に食ってかかって,店員と口論が始まりました。それがどう決着が着いたのかは確認しませんでしたが,その様子も記憶に残っています。

ホテルはワシントンスクエアの北西にある「ワシントンスクエアホテル」でした。グリニッジヴィレッジに近いので,よく使っていたホテルです。97年11月に8月に生まれたばかりの彩を連れてニューヨークに来たときにも泊まったホテルです。
夜8時頃までは明るいので,ワシントンスクエアで食事をして,ホテルの部屋へ。
ところが,部屋には懐中電灯がありません。フロントの担当が懐中電灯をつけて,各部屋に案内してくれるのですが,その後は,真っ暗。ロウソクなどももちろんありません。そこで,ろうそくを探しに僕は外に出て行きました。キンバリーはロウソクがなくても何とかなるよと言っていたのですが,まだ8時過ぎで部屋にいるのは退屈でもあったので,外の様子を見たいということもあって,外に出てみました。
通りは真っ暗ですが,ワシントンスクエア(噴水もある結構大きな公園)の中にいくつかのサーチライトが設置されていました。大停電に乗じた犯罪が起きないように,公園などの危険な場所には警察がサーチライトを設置して明るくしているのでした。
6番街を南に下がりながら,ドラッグストアに入ってロウソクを探しましたが,どこも売り切れ状態。数件回ったあと,ようやく韓国系の人がやっているドラッグストアに2本だけ残っていたのをゲット。地下鉄が止まっているので,歩いて帰宅する人などがたくさん歩いていました。
ホテルに戻って,真っ暗な中でつけたロウソクの明かり,ベッドに座っているキンバリーの姿が浮かんで来ています。
ワシントンスクエアホテルは6階建てくらいの小さなホテルですが,それがラッキーだったのです。
高層ホテルでは電気系統がダウンして,トイレも使えないので,宿泊客は部屋にいられず,外に追い出されるようにされていたのを翌日知りました。ワシントンホテルはトイレも使えて水も出るので,ちゃんと部屋で寝ることができました。

つづく

モーツァルト 弦楽四重奏曲 KV421  ハーゲン弦楽四重奏団 を聴きながら

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