2010年3月31日水曜日

アメリカの弁護士に対するイメージとは・・・

手元に The Best Lawyer Jokes Ever という本があります。7~8年前にニューヨークのユニオンスクエアにあるバーンズ・アンド・ノーブルという書店(アメリカの大手の書店チェーンです)でバーゲンで4ドル98セントで買った本です。この手の弁護士に関するジョークを集めた本がアメリカの書店には必ずあります。内容は,弁護士がいかにあくどく金儲けを考えているかについて皮肉ったものが殆どです。訴訟社会といわれるアメリカでは,弁護士が高額の報酬を得ていることは紛れもない事実で,それに対する社会的批判も大きいものがあり,このような本もその流れから書かれているものです。ただ,それはアメリカでは弁護士という存在がとても身近なものであることの現れでもあると言えると思います。日本で弁護士に関するジョークを書いたりしても,そもそも弁護士と普段接点がない人が殆どなので,ジョークとして伝わらないということになるでしょう。

この本から,私が読んで面白いと思ったものを紹介してみたいと思っています。気楽に読んでください。
まず,最初にこんな2行の文章が載っています。

 HOW MANY LAWYER JOKES ARE THERE ? 弁護士ジョークっていくつある?
      Only three.  The rest are true stories. たった3つ。あとはみんな本当の話。

 アメリカ人ならこれを聞いてクスクス(ガハハ)と笑うこと間違いありません。
 
と書いたところで,裁判所に行く時間が来てしまいました。
続きはまた

ジミ・ヘンドリックスの新譜 Valleys OF NEPTUNE を聴きながら。ジミヘン恐るべしの凄い演奏です。

2010年3月30日火曜日

蘭越事件無期懲役判決

昨日の判決ですが,裁判長が判決の結論である主文を最初に言わず,理由部分から読み始めたとき,有罪であることが分かりました。無罪であれば,まず最初に結論である「被告人は無罪」を言渡したあと,その理由を述べるはずですから,この時点で有罪であることが分かったのでした。

内容については,新聞やテレビで報道されたので詳しくは触れませんが,日本の刑事裁判では,検察官が被告人の有罪を100パーセント証明する必要はなく,逆に被告人が自分が無罪であることを完璧に証明できなければ有罪になるということが改めてよ~くわかりました。
証拠の評価で有罪にも無罪にもなり得るようなケースで,被告人が犯人だと「推論できる」という理由で,被告人の人生を完全に奪う「無期懲役」という判決を下すことのできる裁判官という人たちは,本当に恐ろしい人たちだと改めて認識しました。

即日控訴となりましたが,国選弁護人である私の役目は昨日で終了です。判決理由を聞きながら,弁護人一同空しさを感じていました。

今日は久しぶりに暖かい1日だったですね。雪も一気に溶けそうです。

次回から,弁護士に関するアメリカのジョークを紹介するシリーズを始めたいと思っています。

ウェス・モンゴメリーのギターをかけながら・・・

2010年3月29日月曜日

蘭越事件判決日

今日の午後3時蘭越事件の判決言渡しです。
裁判所が刑事裁判の原則に従って無罪判決を出すことを期待しています。

この裁判の争点の1つに,現場にあったキオスクの袋内の6個のティッシュのうち1個から被告人の精液だけが鑑定されたことがあります。被告人は現場には一度も行ったことがないのですが,出会系サイトで知り合った女性が本件犯行日の2週間くらい前に現場に被告人と行って,そこで被告人と性的関係を持ったと証言しています。女性の話が本当であれば,ティッシュのうち2個には被告人の精液と女性の唾液がついているはずなのに,1個から被告人の精液だけが鑑定できたというのです。その理由として,検察はキオスクの袋が発見されたときの現場検証中に雨が降り,キオスクの袋の中にも雨水が入ってティッシュがずぶぬれになってしまい,唾液などが薄まったり流れたので1個から被告人の精液だけが検出されたのは不自然ではない,と言っているのですが,ティッシュが濡れてしまったのは警察の捜査ミスなのです。発見されたキオスクの袋は取っ手の部分がしっかりと結ばれていて密封状態だったのを,現場で警察官が結びを解いて,口を開けたまま地上に置いていたために雨が入って濡れてしまったので,これは明らかに警察のミスです。それを理由に自分たちに有利な主張をするのですが,皆さんこれについてどう思いますか?これがアメリカの裁判だったら,捜査側のミスで鑑定できなくなった可能性があるのであれば,そんなものは証拠として認められないことになるはずです。ところが日本ではそんな発想は出てきません。

裁判員裁判だったら,蘭越事件にはどんな判決がなされるでしょうか。
判決については,また報告したいと思います。

2010年3月28日日曜日

雑談

昨日の朝6時過ぎ,ロイとライ(我が家の2匹の犬たち)と北大キャンパスを散歩してきました。自宅から近いので,事務所が休みの週末はちょっと長めの散歩をすることが多く,北大キャンパスは絶好の散歩コースです。冬に逆戻りした真っ白なキャンパスは,ジョギングしている人も数人いました。私も,犬たちと一緒に150メートルくらい走ったら疲れました。
農学部の建物が見えたとき,中学2年生頃の記憶が突然蘇ってきました。建物のテッペンは昔は鐘楼として使われたいたはずですが,その中の壁に私の落書きがあることを思い出したのです。その頃は,建物の管理も今と比べると極めてゆるやかだったのでしょう,一番上まで建物内を上がっていくことが簡単にできたのでした。壁には,当時好きだった女の子との相合傘がいくつも書いてあるはずです(多分まだ残っているのではないかと思いますが。北大農学部の方で確認できる方いたら一報ください)。今では,中学生が中に入ってウロウロするなんて絶対に許されないでしょうし,一番上まで上ることは施錠などされていて不可能でしょう。昔はじつにおおらかでした。中学3年頃ですが,北大キャンパスに捨ててあったオートバイを直結でエンジンをかけて友人と3人乗りで走り回り,最後は大きな音でパンクしたなんていう楽しい思い出もありますが,今では考えられないでしょうね。北大の大きな建物がたくさん増えて,昔とはすっかりその姿を変えてしまいましたが,クラーク会館前の中央ローンはほとんど変わっていません。高校生のとき中央ローンの芝生に寝転んで,「異邦人」とか大江健三郎を読んだりしたのが懐かしいですね。ちなみに,私は昭和31年(1956)生まれですから,40年くらい前の話です。

昔話をしてもつまらないですね。
明日は蘭越事件の判決です。今日の毎日新聞朝刊にかなり大きく記事が載っていました。
判決は午後3時言渡しです。

2010年3月24日水曜日

最近の新聞記事で気になったこと

先日の朝日新聞に,日系ブラジル人の子どもが,不景気を理由に解雇となった親と一緒にブラジルに戻ることになったが,日本語もポルトガル語もどちらも中途半端な状態になっていて,ブラジルに戻っても学校の勉強についていけるかとても不安になっているという記事が載っていました。
とてもかわいそうな状況にある同じ問題を抱えた子どもたちがたくさんいるようです。その記事の中に,日本の学校に行ったが,一人も友だちができなかったということが書いてありました。日本に来ている外国人で同じような思いをしている人はたくさんいると思います。日本社会の冷たさについて考えさせられました。日本人は儀式が好きな人たちだと思います。または,何か名目があると協力したりして「暖かい善意」が集まるのです。でも,日常レベルで外国人と友だちになったり,話をしたりということは殆どしない人たちです。
自分のことを棚に上げて書いているような気がしていますが,それを自覚したうえで,日本社会・日本人の冷たさを感じることがあります。
北欧から来ている女性がうつになったとき,それまでとても親しく会ったりしていた日本人たちが,殆ど声をかけてこなくなり,孤独に苛まれて,日本で一生を終えようと思っていた気持ちが全くなくなったという話を聞いたことがあります。

雑談

二匹の犬が我が家にいます。ライ(ビーグル・メス)とロイ(フラットコーテッドレトリーバー・オス)のどちらも4歳。最初,生後3ヶ月のライをペットショップで見つけ,一匹だけという約束がその2ヵ月後にあっけなく破られ,ロイがやってきたのでした。実は,僕は犬が苦手。8歳頃,近所の犬に右フクラハギに噛みつかれて6針くらい縫うという経験があるため。ライが来て,ケージを買うためにペットショップに行ったら,妻が子犬のロイに一目ぼれしたとかで,丁度,ジンギスカンとビールでほろ酔い状態だった僕は,「もう一匹買ってもいい?世話は私がするから」という言葉につい「いいよ」と答えてしまったのでした。

今朝は6時頃から30分くらい2匹と散歩。朝の散歩は僕の役目です。
雪解けとともに,冬中に捨てられたいろいろなものが現れてきて,ライとロイは「クンクン」と鼻を鳴らしてなかなか動きません。雪に隠れて見えないと思って,どれだけのゴミが捨てられているか,この季節になるといつも呆れています。

蘭越事件の判決が来週月曜日に迫ってきました。昨日は朝日新聞の記者が主任弁護人のところに取材に来たようです。どんな判決が出るにせよ,マスコミで大々的に報道されるでしょう。

事務所でマイルス・デイヴィスの1981年5月6日のセッションを聴きながら書いています。
また

2010年3月19日金曜日

刑事裁判の原則について

蘭越事件の話題が続いていますが,私は刑事事件専門の弁護士ではありません。日常的には民亊事件を主に取り扱っています。ただ,ときどき刑事事件を手がけるわけです。
刑事事件においては,検察官が被告人の有罪を完全に立証しなければならないというのが大原則です。これに対して,被告人側は無罪であることを証明する必要はありません。検察官の証拠では有罪が100パーセントは証明できないことを明らかにできれば,無罪となるのが原則です。ですから,被告人は起訴された犯罪行為を「やっていないこと」を証明する必要はなく,検察官の証拠では「やっていることが100パーセント証明できていないこと」を立証できればいいのです。
ちょっと分かりづらいでしょうか。この点で私がよく例に出すのは,アメリカでの著名な事件「OJシンプソン事件」です。元アメリカンフットボールのスター選手で,俳優にもなっていたシンプソンが元妻とその知り合いの男性を殺したということで起訴されたのですが,陪審裁判で無罪となり,世界中に衝撃が走ったのでした(この衝撃を記憶している方,どのくらいいるのだろうか・・・)。
ところが,遺族がシンプソンを相手に起こした民亊裁判では,シンプソンが殺人を犯したことが認定されて,莫大な損害賠償責任を負わされたのです。何故刑事と民亊とで結論が異なるのか,真実は1つではないかと思われるでしょう。ここに刑事と民亊の違いがあります。刑事裁判では,検察官が100パーセント被告人の有罪を証明しなければならないのに対し,民亊裁判では訴える側は被告がやったということを理論的には51パーセント証明できれば,勝訴となるのです。

と,ここまで書いて,所用のため中断して,続きはまた(すみません)

今日は娘の小学校の卒業式でした。卒業証書を校長から渡される前にマイクの前で今後の夢や希望を一言述べるというのを見て,自分の32年前の卒業式とは違うなあと思いました。

2010年3月18日木曜日

蘭越事件その後2

投稿してくれた方がいて,このブログを読んでくれている人が少なくとも二人(一人の方は投稿はしないけど読んでくれています)いるということが分かって少し安心しました。昔の演歌で読んではくれないと知りながら手紙を書いてる心情を歌ったのがありましたが,ちょっとそんな気分になっていたところでした。

蘭越事件の報道の論調がちょっと変わったと思った方はいないでしょうか?弁護側の弁論までは,完全に被告人は有罪だという論調でしたが,我々の主張・立証によって,検察官のストーリーが必ずしも完全ではなく,むしろ,穴がいくつもあることにマスコミも気がついたのではないかと思います。再弁論のあと,エレベーターを待っていた我々のところにある大手新聞社の記者が近づいてきて,「無罪判決がでたときには,被告人本人も同席して記者会見してもらえますか」と言ってきたのです。以前であれば,こんな発言がマスコミから出てくることは考えられません。法廷傍聴をしていて,マスコミの記者たちも証拠で被告人の有罪が完全に立証できるかについて疑問を感じているのだと思います。

問題は裁判所が刑事裁判の原則「疑わしきは被告人の利益に」にきちんと従って判断をするか否かです。

3月29日の判決に注目してください。


全く話は変わりますが,この冬に逆戻りしたような天気は何でしょうか。苫小牧方面に雪が降らないことを祈る日々です。この意味分かるでしょうか。分かりますよね(笑)

2010年3月17日水曜日

蘭越事件その後

昨日,蘭越事件の弁護側弁論が終了しました。
①犯行時刻が午後9時07分頃というのが検察の主張だが,9時48分に寿都に帰る途中にある居    川商店に被告人が着くことは不可能であること(居川商店で被告人がタバコを買ったことは自動販売機の記録で判明しています)。警察の走行実験では,犯行現場からは1時間以上かかるので,被告人が犯人であれば,9時48分に居川商店にはたどり着けない,つまり,被告人は犯人ではない。
②犯行現場にあった,ティッシュに被告人と関係したとされる女性の唾液が全く検出されないこと,被告人の精液が1つのティッシュの塊にしか検出されないことについての検察の説明は科学的にありえない事
などを主張しました。
判決は予定通り今月29日午後3時です。無罪判決を期待しています。
しかし,検察の立証は全く不十分だと思います。それを何とか救えないかと裁判官たちが考えて弁論を再開して証拠調べをしたのですが(私たちはそう考えていますが,裁判官はそんなことは認めません),果たして,検察官の立証は補充されたのか,大いに疑問です。
弁論は25分くらいかかりましたが,私が読み上げました。他の弁護人から「先生の渋い低音でやってもらったほうが説得力がある」などとおだてられてしまい,拒否する理由もないのでやりました。
カラオケで声がいいと言われたことはありますが(笑),弁論について言われるとは・・・
疲れました。

2010年3月15日月曜日

日本の刑事裁判はおかしい

蘭越事件(平成19年9月に発生した強盗殺人・強盗殺人未遂事件)の弁護人を他の2人の弁護士と担当しています。ニュースで知っている方も多いと思います(ちなみに,法廷の映像で,右側の弁護人席の一番手前に座っているのが私です。)。

検察官の論告・求刑(無期懲役)と弁護側の最終弁論が今月3日に終わり,あとは29日の判決ということになっていたのに,突然,裁判所が裁判を再開すると決めました。いくつか論点があるのですが,犯罪現場に落ちていたキオスクの袋の中に入っていたティッシュ(6個の塊)のうち,1個だけから被告人の精液の存在が確認できたことについて,警察の鑑定をした技術者を証人として法廷で尋問することになっています(今日の午後3時から。札幌地方裁判所の8階の法廷です。誰でも傍聴できます)。被告人と性的関係を持ったと証言している女性がいて,それによれば,少なくとも3個のティッシュに被告人の精液と女性の唾液が付着しているはずなのに,1個だけに,しかも女性の唾液は確認できないというのは有り得ない,つまり,警察による何らかの証拠捏造があったと考えられるというのが弁護側の主張。これに対して,検察官は,キオスクの袋が発見されたとき,雨が降ってティッシュが濡れたので,1個にしか確認できなかったのは何らおかしくない,と言っています。雨で濡れたから確認できなくなるなんてあり得ると思いますか?
今日の証人は警察側の人間ですから,当然,検察に有利なことを言うに決まってきます。私たちは,法医学の文献を何冊も調べ,例えば,唾液は1万倍に希釈されても確認できるということを見つけたので,もし証人がこれと違うことを言ったら,徹底的に突っ込むつもりでいます。

問題は,裁判所が,検察の立証の不十分なところを助けるために,今回のように裁判を再開して更に検察側に証明をさせるということがあるということです。私は,この事件と同じ裁判官たちに,検察官の不十分な証拠を補助するようなことをされて,無罪を主張していた事件で有罪とされた経験があります。

日本の刑事裁判には,二人の検察官がいるようなことがあります。本当の検察官と裁判官という名前の実質的検察官です。

さて,午後の裁判,どんな展開になるか。
のちほど報告します。

2010年3月14日日曜日

ゴルフシーズン間近

ブログが出来たにもかかわらず,まだ2しか書いていないとは・・・まめにかかないと意味ないと妻に叱られました。
今回は一昨年始めたゴルフについて。
ずっと誘われながら断っていたゴルフにおととし手をつけ,それ以来はまってしまいました。
自己流はだめだと思い,また,始めるのが52歳からになり運動能力が衰えていると思い,プロのレッスンを受けることにして,福住にあるマンツーマンのレッスンを受けることにしたのが,おととしの2月。それから1週間に1回くらいのレッスンを受け,6月に初コース。ラウンドレッスンで,プロと一緒に回って,無我夢中で回ったという感じでした。スコアは散々でしたが,ショートコースで初ボギー。
2回目と3回目のラウンドは,アメリカのニューハンプシャー州とバーモント州のとっても綺麗なコース。家族でアメリカに行っていて,友人のクラブを借りて回り,126くらいで回りました。
去年は,念願の100を切り,ベストが95。そして今年は90切りを目指してシーズン開幕を楽しみに待っているところ。ゴルフがこんなに面白いのなら,もっと早くに始めたかったと思っても仕方ないので,これからできるだとたくさんやりたいと思っています。
一緒に回れる人いたら,お知らせください。
ラウンドしながら,法律相談もやります・・・