2011年11月2日水曜日

ニューヨーク大停電(その後)

既に書いたことがあるかもしれませんが,調べるのも面倒なので( すみません),ワシントンスクエアホテルから真っ暗なグリニッジヴィレッジに一人出て行ったところから書きます。

まだ時間は夜の10時くらいで,寝るのも早すぎるので,一人で外の様子を見に行くことにしました。キンバリーは「危ないかもしれないから気をつけて」と言ってくれました。僕は予定していたライヴが停電の中では不可能だということで,すべて中止になっていたのは分かっていましたが,きっとどこかで音楽に出逢えると信じて,南に向かって歩き始めました。ボブ・ディランがニューヨークに出てきて初めて演奏したライブハウスなどが並んでいるブリーカーストリートに向かいました。ブリーカーストリートはサイモンとガーファンクルやフレッド・ニールなども歌にしている,特にフォークミュージックの世界では有名な通りです。

しかし,ブリーカーストリートは真っ暗で,どのライヴハウスも閉まっています。
6番街にあるブルーノートにも行ってみましたが,当然のようにクローズ。電気なしでは店内は真っ暗で,マイクなどの機器も使えないのでライヴは成り立たないし,冷蔵庫なども使えないとあっては,料理も作れない・・・しばらく歩き回ってみましたが,どこもやっていない。諦めかけたとき,どこからかサックスの音が流れてくるではありませんか。その音に向かって,少し風の出てきたビレッジを歩いて行くと,半地下のようになっている店に行き当たりました。少し曇ったガラス窓を通して,中に人がいるのが見えました。入って行くと,アルトサックス・ドラムス・生ギター・ヴォーカルの演奏中。明かりは店内のあちこちに立てられているロウソクだけ。入って行くとバーテンの男性がHiと声をかけてきて,僕はカウンターに座ってビール(確かサミュエルアダムズだった)を注文。バーテンは「冷蔵庫がとまってるので半額でいいよ」と言って,ボトルを僕の目の前に置いてくれました。ちゃんと冷えてるビールでした。

客は僕を入れて10人もいませんでした。アコースティックな雰囲気で,ジャズっぽい,でもちょっとフォークっぽい演奏が,ロウソクだけの薄暗い店内で続きました。忘れられない一夜でした。

後日談ですが,同じ年(2003年)の12月にニューヨークに行った際に,その店に行ってみると,閉店していました。ニューヨークで店が変わってしまうことは良くある話ですが,とっても残念でした。

予定が変わり,8月15日はニューヨーク郊外のキンバリーの叔母の家に泊まり,16日発の飛行機で日本に戻って来ました。叔母からのプレンゼントということでTシャツをもらいました。大停電の翌日の15日に売られていたものですが,こうプリントされています

        I SURVIVED HISTORICAL 

BLACKOUT
         (ここにニューヨークの摩天楼のシルエット)
NEW YORK CITY 
AUGUST 14TH ,2003


電気の通っているどこかで,「これはチャンスだ」とTシャツをせっせっと作っている人間がいたんだなあ・・・とあきれるやら感心するやら・・・

   キンバリーと,あのときのことを思い出しながら話ができたらどんなに楽しいか・・・
   最近,以前にも増して,iPadに入っている彼女の写真を見ています。逢いたくてたまりません。


Cyrus  Chestnut(p) Blessed Quietness    を聴きながら

       (結婚して間もなくの頃,ボストンで彼女と一緒に聴いたジャズ・ピアニストです)

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