2011年10月27日木曜日

風になびくリオ・ブラボー~1995夏 イン・ニューヨーク

朝日新聞の土曜日朝刊に入ってくる「be」に「サザエさんをさがして」という連載があります。
サザエさんの漫画を一つ取り上げて,それにまつわる時代背景やいろいろなエピソードが紹介される読み物で,とても面白いので愛読しています。単行本にもなっていて,既に4冊?ほど出ています。

その中に,夏休みに田舎に帰省していたワカメが,学校の校庭の映画会に行くというものがあります。
そこから僕の中に,1995年のニューヨークの夏が甦ってきます。

1995年4月8日に出逢ったキンバリーが4月22日にニューヨークに旅立ったあと,6月下旬に僕がニューヨークに彼女に逢いに行き,JFKで赤いバラ1本を手にキンバリーが迎えてくれました。
緑あふれるニューイングランドをドライヴ(イーグルスが一緒),そして結婚することにお互いの気持ちを確かめあって,ニューヨークに戻ってきました。
当時は,1ドルが85円くらいの円高で(最近の75円というのは本当に凄い円高です),ちょっとリッチな気分だったのと,二人の時間をゆっくり持ちたいので,セントラルパークの南にあった「プラザホテル」に泊まることにしました。今はホテルの営業はやめてしまいましたが,そこで演奏されたマイルス・デイビスのライヴがアルバムになっている,高級ホテルでした。7月11日の僕の誕生日に日本食の朝食をキンバリーがプレゼントしてくれたホテルです。

タイムズ・スクエアから東にほんの少し行ったところの市立図書館の脇に,ブライアント・パークという大きな公園があります。冬にはスケートリンクが作られて,無料で楽しむことができます。まだキンバリーが元気だったときの家族3人でスケートを楽しんだときの写真が残っています。

その公園で,無料野外映画会が開かれ,キンバリーと一緒に「リオ・ブラボー」を観たのでした。ハワード・ホークス監督ジョン・ウェイン,ディーン・マーチン主演の大好きな映画です。
ニューヨークの生暖かい風がただよう夜に,張られた大きなスクリーンに浮かび上がるジョン・ウェインの顔が,時折吹いてくる風に揺らめくスクリーンの上でゆがんでいたのを思い出します。折り畳みイスに座って,手をつないで一緒に観ました。

この「風にゆらめくスクリーン」というのが,とても風情があっていいのです。
ニューヨークの夜に,ゆらめくスクリーンで観る映画,ちょっとレトロな感じで,音響もあまり良くなくて,セリフが良く聞き取れないのも気になりません。忘れられない,キンバリーとの思い出です。

この野外映画会は,最近も行われています。
ただ,とても残念なのは,風になびくスクリーンではなく,ハイテクスクリーンという感じで,大きなディスプレイがド~ンと設置されていて,もう風にゆがんだジョン・ウェインの顔を観ることはできません。
確かに,画面は良く見えるし,音響も良い。でも,あの夏のなんともゆったりとした感覚は,このハイテクスクリーンでは味わえません。たった16年前 のことなのに「古き良き時代」という感じです。

最近,キンバリーがたくさん夢に出てくるようになっています。
朝目が覚めると,iPhoneに入っている彼女のビデオを見るのが習慣のようになっています。


Miles  Davis  LIVE AT THE ORIENTAL THEATRE  1966.5.21     を聴きながら

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