2012年1月7日土曜日

ソラリス

ポーランドの作家,スタニスワフ・レムの「ソラリス」を読み終わりました。
沼野充義が初めてポーランド語の原典から翻訳したものです。これまでに出ているものは,ポーランド語からロシア語に翻訳されたものからの日本語訳だったため,ロシアでの検閲で削除されたような部分がかなりあったということです。かなり長くて,並行読書のためもあり,読み終わるのに時間がかかりましたが,面白かったです。

ソラリスはこれまでにタルコフスキーやソダーバーグらによって映画化されています。
その影響でしょうが,亡くなった恋人とうり二つの女性が,その名前を名乗って主人公ケヴィンの前に現れるという設定を,ロマンティックなストーリーなんだと思いながら読み進めるとその期待は大きく裏切られました。この小説は,人間側の作った基準からは絶対に理解も了解もできない存在との遭遇がテーマで,これをロマンティックな物語として映像化した二人の監督に対して,レム自身は非常に不満で批判的だったようです。

確かに作者の意図はそうなのでしょうが,僕はロマンティックな読み方もいいと思っています。
ソラリスに行って,キンバリーに出逢いたい・・・そう思うのは病的でしょうか・・・

夫の仕事の関係でスイスに在住している,キンバリーとの共通の知人からメールがきました。
空港でのことですが,キンバリーのこともよく知っている息子さんが「あっ,キンバリーだ! 」と思わず叫んだほど,キンバリーに顔も・服装もそっくりな女性を目撃したというのです。亡くなったというのは間違いで,実は外国に住んでいたんだ・・・と思うほどよく似た女性だったようです。

もしそこに僕がいたらどうしただろうか・・・
キンバリー本人であることは絶対にあり得ない,でも,どう見てもキンバリーがそこにいるとしか思えないような女性に出逢ったら・・・・
声をかけずにはいられないと思います。きっと,迷惑がられるでしょうが・・・
世界には自分と瓜二つの人が一人はいるといわれます。その女性はその一人だったのかもしれません。いつか出逢うことがあるかもしれない・・・

ジミ・ヘンドリックス   未発表デモテープ集を聴きながら

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