2011年8月24日水曜日

14歳

今日,娘の彩は14歳になりました。夏休み最後の日で,明日から新学期です。
函館方面の依頼人の方からおめでとうのメールが届きました。ありがとうございます。
また,友人が僕の不在中に事務所に彩への誕生日プレゼントを置いて行ってくれました。嬉しいです。

彩が産まれたのは日曜日の朝でした。
逆子だったので,帝王切開でした。清田区にある病院で,僕も立ち会って(そこでは帝王切開でもキンバリーの横にいさせてくれました),彩が初めてこの世界に存在する瞬間を共有しました。
いろんなことを思い出します。
キンバリーは自然分娩を望んでいたので,まず助産所に通いました。
ところが,逆子であることが分かり,そのままだと助産所では出産は難しいことが判明しました。
何とか逆子をなおそうと思って,「逆子体操」をやってる産婦人科に通ったりしましたが,だめでした。一生懸命,床の上で身体を動かしていた姿が目に浮かびます。

23日の土曜日の昼過ぎから陣痛が始まりました。一度病院に行ったら,まだ子宮口が開いていないということで,一旦自宅に戻りました。歩いた方がいいと彼女は考えていて,痛みをこらえながら,一緒に自宅のある北17条西2丁目から大通公園まで休み休み歩きました。

そして,午前0時を過ぎた頃,本格的な陣痛となり,僕の運転する車で病院に向いました。当時はまだなかった札幌ドームを過ぎたあたりで痛みに耐えられなくなり,車を降りて歩道の樹木につかまるようにして痛みをこらえていたのを思い出します。

病院に着いて,朝7時半の帝王切開まで,キンバリーは何とか自然分娩できないかと頑張りました。でも,彩の左足だけが出てきて,それが紫色になっているのを見て(見たのは僕。キンバリーには見えない),医師も帝王切開しかないと判断しました。

流行?に従って,モーツァルトをかけていました。
その年の1月にニューヨークに行ったのですが,親友のリサも妊娠中で,夫のアンディと一緒に,「出産時の妻を夫はどうやって支えるか」という体験セミナーに僕たちも参加し,陣痛に苦しむ妻にどうやって対応するかを「模擬練習」していたのですが(例えば,どんな言葉をかけるのがいいか,どうやって身体をさすったりするのがいいか など),実際には全く役に立ちませんでした。
痛みを感じているキンバリーの身体は他人に触れられることを拒絶してしまい,彼女の呼吸のリズムに合わせて僕も呼吸しながら声をかけるのが精一杯でした。

彩を初めて抱いたときのキンバリーの最高に幸せそうな表情は忘れられません。

彩がまだ10歳のときに乳ガンと分かったことになります。治療方針の話のとき,病院の医師に「私にはまだ10歳の娘がいます。まだ死ぬわけにはいきません」と強い口調で言っていたキンバリー。

彩が楽しみにしていた,31(サーティワン)でアイスクリームのバースディケーキを買ってきました。
店に行って,いくつかある中で,どれが彩のほしがっていたものかが分からなくなりました。電話で訊くわけにもいかず(そんなことをしたら「私の話聞いてくれていないんだ」と怒られそうで・・・),直感で選びました。自宅で14本のロウソクに火をつけて,ハッピーバースディを唄いながら彩のいる部屋へ持って行きました。大喜びで,まず写真を撮ってからロウソクを吹き消して,「私の好きなやつ覚えていてくれたんだね。お父さんありがとう」と満面の笑顔を言ってくれました(内心,ひやひやしていました)。

14歳の彩をキンバリーに見てもらいたかった。

キング・クリムゾン  Starless and Bible Black  を聴きながら

1 件のコメント:

  1. 彩さんお誕生日おめでとうございます。

    一番多感で傷つきやすい年代に差し掛かった時に、お母さんがいないというのは、計り知れない悲しみがあるかと思います。
    でも、大好きなお父さんがついているから大丈夫ですね!

    子どもの誕生日って、本人はもちろん、母親にとっては自分の誕生日よりも嬉しい一日だったりします。
    それを叶えられなかった奥様の気持ちを考えると胸が張り裂けそうです。

    彩さんが誰よりも幸せで楽しい一年になるように祈ってます。

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