2010年12月3日金曜日

完全な勘違い

昨日は41年間の間違った思い込みについて書きましたが,別の大いなる勘違いについて。

妻が亡くなったあと,妻を知る人によくこんなことを言われます。
「キンバリーは日本人以上に気のつく,思いやりのある人だったね」
僕は言います。
「日本人にあんな人はいません。」

どうも日本人は,自分たちが外国人に比べて優しく思いやりがあるものと思っている人が多いようです。それで,妻のことを「日本人以上に」などと言うのでしょう。こう言われたのは一人や二人ではありませんから,このような思い込みはかなり深いと思います。

それが間違いであることは,これまで例に挙げた何人もの弁護士のことを考えれば全くの誤りであることは明白ですが,その他にもこんなこともあります。

知り合いの北欧出身の女性が札幌市に暮らしていました。隣近所とのつきあいも良く,とても仲の良い日本人の友人たちに囲まれて,札幌でずっと暮らすつもりでいました。その彼女は,今は自分の国に帰って札幌にはいません。

彼女は私生活上の問題等があって,体調を悪くし,うつになってしまったのでした。
当然,それまで交際のあった日本人の友人たちがいろいろと力になってくれるものと思っていましたが,次第にその人たちは彼女から離れて行きました。彼女は,大変な精神的ショックを受け,この国では生きてはいけないと思い知らされ,国に帰ったのです。

年間3万人を超える自殺者の背景には,このような「思いやるがあると自分では思っているが,実際には他人を孤独にさせる優しい日本人」がいることは間違いありません。

幼い姉と弟が遊び歩いていた母親に置き去りにされて餓死した事件がありました。
その事件を知ったとき,妻が同じマンションにいたら絶対にこの子どもたちは助かっただろうと思いました。インターホンから助けを求める声が聞こえても誰も動こうとしなかった人たち。妻がいたら,僕と一緒にその子どもたちの部屋がどこなのかを全部の部屋を訪問して見つけ出したことは間違いありません。すぐ警察にも通報したでしょう。本当にかわいそうなこどもたちです。

昨日は,テレビで「ブラタモリ」を見ました。この番組妻も好きでした。一人で見ながら,隣に妻がいるような気がしました。

ウェス・モンゴメリー「BODY AND SOUL」を聴きながら

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