2010年12月7日火曜日

日本人は日本語で歌ってほしい

日本人が英語で歌うのに感心したことはあまりない。例えば,ジャズシンガーにケイコ・リーという人がいて,彼女の歌を絶賛する人は多いようだが,いいと思ったことはない。その昔,まだくっちゃんジャズフェスティバルがあった頃,家族で行ったことがあり,彼女が歌うのを聴いたが,ぜんぜん良くなくて,その発音を聴いていて何か恥ずかしいような感じを抑えることができなかった。妻は「どうして日本人が英語で歌うと,心が感じられないのかな。とても薄っぺらにしか響かないこと分からないのかな。」と言っていた。本当の気持ちが,心が感じられない歌は,どんなに上手に聞こえたとしても,そこから感動を受けることはない。

先日,「ゴースト」という映画を観てきた。デミ・ムーアとパトリック・スウェイジのオリジナルのリメイク。少し前なら,このような内容の映画を観に行く気持ちにはならなかっただろう。少しずつ,自分の中で,妻の亡くなったことを受け入れられるような場所ができつつあるのかもしれない。
映画自体は,予想していたとおり?到底オリジナルを超えられるものではなかったけれど,お気に入りの通路側の席で,ポップコーンMサイズ,コーラMサイズと一緒にスクリーンに向かっていると,隣に妻が座っているような気がした。ほんのチョットした悲しい場面や幸せな場面でも,すぐ涙ぐんでしまう妻。きっとこのシーンで涙ぐんでいるな,とそっと横を見ると,案の定,ウルウルしていて僕に見られているのに気がついて,照れ笑いをする彼女。そんな彼女が見えるようなシーンがいくつかあった。

しかし,オリジナルでもテーマソングだった,ライチャス・ブラザーズのアンチェインドメロディUNCHAINED MELODY が流れたとき,わずかに感じつつあった感動のようなものがスーッと冷めて行くのが分かった。すぐには分からなかったのだが,ライチャスブラザーズのではない。日本人が歌っているなと分かる歌い方で,英語の発音はともかく,そこにはオリジナルに感じられる心が全く感じられなかった。それが2回歌われるのが辛かった。

映画が終わり,クレジットで平井堅が歌っていたことが分かった。彼は,とても素晴らしい歌手だと思うが,英語で歌うのはやめてほしいと願った。

そう考えると,ジェロってすごいのかもしれない。テレビで何度か聴いただけだが,彼の演歌には本当に気持ちを感じることができるような気がした。
そういえば,娘がジャニーズ系が大嫌いで,その理由が,歌が表面的で心が感じられないというもの。そういわれると,エグザイルなどそれほど知ってはいない日本のアーティストの歌に感じる表層性とでもいうものは,ひとつの特徴としてあるように思う。

ただ,桑田は別格だとは思う。彼の歌を聴くと,歌と彼自身が乖離することなく,彼自身から自然に流れてきた歌だということが感じられる。ヤザワ?残念ながら彼のことは全く分からないが「時間よ止まれ」は凄いと思う。

クーリエ・ジャポンという雑誌の新年号をめくっていたら,ドイツで「イズ」の「虹の彼方に」が大ヒットしているという記事が載っていた。ハワイの歌手で,イズラエル・カマカヴィヴォが本名。すごい巨体だが,その声は一度聴いたら心をすっとつかんで離さない。生前,妻がU-TUBEで見つけて,何度も一緒に見たことを思い出す。昏睡状態になってから亡くなるまでの4日間,ずっとかけ続けた彼女の好きな曲の中に,この曲も入っている。彼自身は13年前に38歳で亡くなっているが,妻が「こんな素敵な歌を歌うひとが若くして亡くなるなんてアンフェアだね」と言っていたが,その言葉を彼女をのために叫びたい。unfairだよ!!!!!

マリアンヌ・フェイスフルのニューアルバム「EASY COME EASY GO」を聴きながら

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