2010年12月15日水曜日

思い出~音楽

些細なことから,記憶が鮮やかに蘇ってくるということは誰しも経験することでしょう。
プルーストの「失われたときを求めて」の中でマドレーヌの味から過去が蘇るというエピソードはとても有名ですが,最近岩波文庫と光文社新古典文庫で新訳が出始めていて,集英社文庫の完訳とともに,何回か挫折した通読に挑戦したいと思っているところです。

今朝,事務所に向かう車の中,FMからコーラスが流れました。その瞬間,妻の声が蘇ってきました。何か音楽に関係する話題が出たとき,妻はよくオペラ歌手の発声練習の真似をして ららららららら~とちょっとおどけた表情で声を出すのでした。その声がはっきりと聞こえてきて,僕も同じように彼女の真似をして声を出してしまいました。涙ぐんでしまいしました。

事務所の入っているビルの2階に両親が住んでいるのですが,ちょっと寄って,朝のワイドショーを見ると,クリスマスソングベストテンをやっていて,2位の曲が終わったところでした。次は1位。予感がしました。もしかするとあの曲かな・・・ 
そのとおりでした。ワムの「ラストクリスマス」が1位でした。去年の今頃,車で移動するときいつもこの曲をかけて妻と娘と3人で歌っていました。ちょっと悲しい内容の曲ですが,3人で声を合わせて何度も繰り返し歌いました。妻はユダヤ系なので本来クリスマスは関係ないのですが,私が日本人なので父親サイドでのクリスマスということで,我が家のクリスマスソングになっていました。その曲が流れるのを聴きながら,壁にかかっている妻の写真を見て,また涙ぐんでしまいました。

今日は音楽で妻のことを思い出す日になっています。その前兆は昨夜にありました。

昨夜,寝る前に少し本を読もうと思って,自宅の机の本の山の中から,最近買った村上春樹の「村上ソングズ」(村上春樹翻訳ライブラリー 中央公論新社)を手に取りました。
1曲目は「神さましか知らない」という曲名で,まず村上氏の訳詞があり,その後に原詩が載っているという構成。題名ではピンと来なかったのですが,それはビーチボーイズのGod Only Knowsでした。

to be continued

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